よしぶえ No.33 2002 SPRING

夢草摘み

詩:滝本明 写真:細川和昭

背割堤の桜を望む

あそこへ行こう
あの桜が咲いている堤へ行こう 花のトンネルへ
僕の残してきた小さな嘘 数々の作り話 偽の言葉
恥じ色に染まる人生の正体を君と確かめに行こう

あそこに行こう
夢の野に根付くもの 草のなびき 風の行方
ホトケノザ ムラサキカタバミ オドリコソウ
僕の乾きと怒りの正体 君の優しさと飢えが散らばっている所

あそこへ行こう 春だから
水の源 流れの始まり 全ての間違いの劇の分岐点
心の形が指さすところ 遠くに聞こえる記憶のような場所
それら千夜一夜の音楽と 最初の話を摘みとりに行こう

目次

淀川河川公園ニュース イベント案内 お知らせ 淀川の野草 親子3人「淀川源流」旅日記 淀川河川公園と私

淀川河川公園ニュース

第7回淀川河川公園凧揚げ大会

2月10日(日)、淀川河川公園太間地区で行われた初春の風物詩とも言える凧揚げ大会は、寝屋川市制50周年を祝して「元気にはばたけ凧揚げ大会」をテーマに掲げて開催されました。この日は、霙まじりの天候で、晴れたと思えばすぐ悪くなるという生憎のコンディションでしたが、大勢の家族連れや恋人達で賑わいました。和凧に洋凧、連凧など大小様々な凧が群がる中、50畳敷きと20畳敷きの大凧が舞い上がると迫力満点。勇壮な和太鼓が演奏され雰囲気をもりあげます。盛りだくさんのイベントの中、豚汁とぜんざいが振る舞われ冷えた身体はポッカポカ。最後に、凧揚げ競技の表彰が一般の部、子供の部、そして日本の凧の会に分かれて行われました。凧大好きな「日本の凧の会」の人達の指導を受けて大人も子供も童心に帰って凧揚げに熱中した一日でした。

第67回淀川の自然を楽しむ会

2月24日(日)、淀川河川公園城北ワンドで「ワンドの生物」をテーマに淀川の自然を楽しむ会が催されました。総勢95名が参加。この日は晴天でしたが午後から肌寒く、そんな中各講師の指導で水辺を中心に観察。菅原城北大橋の上から城北ワンド郡を見下ろしながら、ワンドの説明を受けました。また、水辺でスジエビ、テナガエビ、モロコ等の生物やドブガイ、ヒメタニシを見つけ、みんな歓声を上げていました。別のグループでは、ヨシでスダレを作るなど楽しい一日を過ごしました。

網を使って水辺の生物を探す子供達

イベント案内

4月28日(日)

第34回守口こどもまつり(八雲地区)
雨天の場合は4月29日(月)順延

5月中旬

植木市(守口地区)

6月上旬

ゲートボール大会(仁和寺野草地区)

6月下旬

淀川河川公園テニス大会一小学生シングル(鳥飼上地区)

お知らせ

◎野球場の抽選日変更のお知らせ◎

平成14年4月16日から、野球場の土・日曜日・祝日使用の抽選日が、次のとおり変更となりますのでご注意ください。

  • 抽選日は使用する月の一ヶ月分を前月の16日(土・日曜日・祝日の場合は、その翌日の平日)に行ないます。
  • 平日は、一ヶ月前の同日より受付を行ないます。
  • 抽選後の空き施設については、その翌日から各サービスセンターで受付を行ないます。

淀川の野草

季節を告げる素敵な草花を探してみよう!文/有馬忠雄

オオジシバリ

細長い葉が地面から突き出すように生え、茎が入り組んでまるで地面を縛っているような生え方をする草。ジシバリとはこの姿を本当によく形容した名前である。別名、ツルニガナは蔓のような伸び方をする茎と、葉の苦みから来たのだろう。

三島江地区

ノヂシャ

堤防斜面の肩や脚部で白い小さい花が密集して咲くのだが、案外気付かれにくい気の毒な草だ。最近、堤防の整備などで生育が非常に少なくなっているのでなおさらである。桂川の右岸、松尾橋から上野橋にかけての堤防肩で群生しているのを見かけたが、今もまだあるだろうか。

島本地区

レンゲソウ

春の水田はれんげ草を摘む子供達であふれる。というのは一昔前の話。もともと水田の緑肥として用いられていた。化学肥料が普及して以来、使われなくなったのかも知れない。地方名に「コヤシグサ」が見られるのもこの辺りを物語る。牧野植物図鑑では、和名ゲンゲ、別名レンゲソウ、ゲンゲバナである。

点野野草堤地区

親子3人「淀川源流」旅日記~桂川その5~

初詣をかねて新年早々、亀岡から園部へ遡上。大堰川周辺には自然があふれ、里山を歩く楽しさを実感できました。松の内だったせいか、この界隈はひっそりとしたムード。賑わいに飽きた私たちにとって、今回の散策はつかの間の安らぎを求める癒しの旅となりました。

2002年は亀岡の山あいにある出雲大神宮【A】から。和銅2年(709年)に建立された丹波国一の宮。国歌である「君が代」はこの地を詠んだものと伝えられている。縁結びの神様だけにカップル客もチラホラ。また、境内から湧く御神水をペットボトルに詰める人々で賑わう。

千代川地区の高台から望んだ里山の民家

歩いて5分ぐらいのところには車塚古墳【B】が。刈り取られた田の中に、唐突に存在する前方後円墳だ。5世紀頃の築造と推定されており、造られた当時に 近いままの姿らしい。墳丘には樹木は1本もなく、水田に降り立ったUFOが姿を隠そうと枯れ草をまとったように見えるから、何とも言えぬ面白さがある。

車塚古墳

しばらく車を走らせ川幅が広くなってくると、テニスコート・グラウンドなどを備えた大堰川緑地公園【C】に到着。娘は遊具を見つけるやいなや、脇目をふらずに走り出す。ブランコや滑り台を堪能したあと、砂場にあるアシカ型のベンチに座ってひと休み。水辺ではセキレイが甲高にピピピと鳴く。国際保護動物であるアユモドキが棲息するというが、当然岸からは見つからない。突然、「オオタカや!」と夫が叫んだ。空高く飛ぶトンビの群から離れ、私たちの頭上を周回する大きな猛禽類がいる。鷹羽模様の尾羽、腹部の白さは明らかにトンビと違う姿である。間近にオオタカを見たのは始めて。その雄姿に感動を覚えた。のちに「娘を小動物と見間違えて狙っていたのかも」と笑いのネタにもなった。

大堰川の水面

まだ遊び足りない娘を何とか説得して次の取材地、船井神社【D】へ。もともと大堰川のほとりに鎮祭されていたものを慶雲2年(705年)、現在の地に遷したそうだ。石造りの鳥居をくぐると、目の前に荘厳な拝殿があった。中には絵馬が飾られている。かなり古く感じられるが、力強い筆使いで今にも駆け出しそうに見える。奥にある本殿に詣でると、娘が「神様に貯金するね」と賽銭を入れて手を合わせた。その横で厄あけの夫が真剣に拝んでいる。今年も家族全員で無事に取材できますように。

船井神社

ところは変わって園部方面へ。駅近くに学問の神として知られる生見天満宮【E】がある。ここは日本一古い天満宮であり、受験生のメッカ。合格祈願の絵馬が拝観客の多さを物語っていた。そして、園部城跡【F】に。初代藩主であった小出吉親公が2年がかりで築城したが、明治を迎え、そのほとんどが壊されたという。現在は園部公園や園部高校が設置され、憩いの場・教育の場となっている。ちなみに、隣接する園部博物館は城をモチーフにした外観であり、最初は間違えてそちらに行ってしまった。

今年初の川詣を満喫した。そして、3カ所の神社でしっかりと初詣した1日。厳かな気持ちで一年のスタートを切ることができた。

*取材/1月5日(土)
*小村家・プロフィール/父の一也はプランナー兼イラストレーター。母の郁慧はコピーライター。そして一人娘の東洋。親子3人、仲良く見聞しています。

淀川河川公園と私

親水とは自然に対してやさしく接すること

寒さの厳しい日でも、河川敷に出てみるとまた違った世界が開けます。るい色のオオイヌフグリが土手の辺り一面に咲き、ホトケノザの真紅の花もチラホラ眼につきます。カンサイタンポポの花が、白い冠毛と並んで微笑んでいます。揚げひばりの歌に誘われて空を見上げると、川鵜が数羽横切って行き、広い野草には今年巣立った子ヒバリが何羽もよちよち歩いていて、その間をツグミが威張るように胸を張って、トットッと歩いていきます。ツクシもすぐに顔を出すでしょう。

私は、太間地区近辺の淀川河川公園を歩き始めてやっと3年目です。少し前からスーパー堤防のウォーキングを楽しんでいた妻に誘われて、退職後に足を向けたのが始まりです。そこで、大げさに言えば、何十年も前に忘れていた「日本の自然」に巡りあったのでした。以来、野草・樹木・昆虫・小鳥たちの自然の営みを観察し、自然に学ぶ日常にはまっています。

最近は、ガガイモの実が殻を開いて冠毛のついた種を飛ばすのを観察したり、ミコアイサなど水鳥の来訪を岸辺で待ち受けたり、越冬している虫を探したりと、花の少ない冬でも結構楽しんでいます。

時には夫婦で歩きます。自分達なりの発見をするのはこんな時です。目線が違うので、ナズナだと思ったらオオツメクサの花だったり、キュウリグサをハナイバナだと思い込んでいたのに気がついたのも、二人の時です。

淀川河川公園のあり方に注文を付けたい点もありますが、自然の奥深さを教えてくれる河川敷に感謝しながら、ゴミを捨てないで持ち帰る人が増えるよう、祈っている毎日です。

湯川 閑

ナンバー19

湯川 閑(ゆかわ しずか)昭和9年7月8日
和歌山県で育ち、高校から社会生活も殆ど大阪、淀川との縁は深い。しかし、河畔に住んだのは平成元年以来を新しい。
今後は淀川と北河内の自然に学びながら、人間社会の傲慢さを少しでも矯正できらたとの意識で、発信していきたいと思う。

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