よしぶえ No.35 2002 AUTUMN

レクイエム

詩:滝本明 写真:細川和昭

初秋の宇治川、大山崎辺り

一枚の写真の向こうから
秋風が吹いてくる
一枚の写真を見ていると
君が何を見ていたかがよくわかる

流れ雲
一枚の写真の奥には
空が空に染まる千年の歳月
その深い青に黙ってしまう君の時間がある

一枚の写真の中の「一枚」の写真

一枚の写真の中には 枯れ尾花
その岸辺に立ち止まった 君の小さな心の揺らぎ
あれは 百の獣と鳥の足跡 千の草の実と種の散らばり
深海のような空の底から聞き慣れたシャッターの音がする

※レクイエム=鎮魂歌

目次

淀川河川公園ニュース イベント案内 淀川の野草 親子3人「淀川源流」旅日記 淀川河川公園と私

淀川河川公園ニュース

第19回淀川河川公園ゲートボール大会

6月21日(金)当日は、晴天に恵まれ絶好のゲートボール日和でした。枚方市、寝屋川市、守口市ゲートボール協会の協力で開会の運びとなり、阪本事務所長の開会挨拶に始まり、審判長による注意事項説明の後、10時より4コートで試合開始。今回は24チームが参加、リーグ戦を和気あいあいとした雰囲気で進行しました。結果は上記の通りで、表彰式の後、次回の第20回大会を秋に実施することとし閉会しました。

★優勝   福友若山Bチーム(寝屋川市ゲートボール協会)
★2位   SMYチーム(枚方市ゲートボール協会)
★3位   牧野クラブチーム(枚方市ゲートボール協会)
★敢闘賞   大藤Bチーム(守口市ゲートボール協会)
晴天の中、プレーを楽しむ参加者達。

第7回ジュニア・シングルステニス大会

第7回ジュニア・シングルステニス大会が7月14日(日)、淀川河川公園外島テニスコートで開催されました。大会当日は台風6号の影響が心配されましたが、時おり晴れ間の覗く天候になり小学生35名が元気よくプレーをしました。試合方法は3名によるリーグ戦の後、順位別トーナメント方式。最年少者は1年生でお父さんお母さんも応援に力が入っていました。台風の影響で風が強い悪条件の中でしたが、午前の男子、午後の女子共に精一杯のプレーをし、会場には大きな声援が上がりました。各トーナメントの優勝者は下記の通りです。

★男子の部★   ★女子の部★
A 金子拓史くん
B 田中慶くん
C 福島潤紀くん
  A 菅野愛弓さん
B 中田弥生さん
C 三谷彩花さん

第68回淀川の自然を楽しむ会

今年も、8月25日(日)に十三野草地区で夏の「淀川の自然を楽しむ会」が行われました。炎天下にもかかわらず、夏休み最後の日曜とあって、子供から大人まで参加者は100余名。テーマは「干潟のいきもの」で、子供たちは干潟でシジミ・ヨシハラカニなどを採り、虫メガネで頭や足をのぞき込んでは驚いたり不思議がったりして観察に熱中していました。また、淀川河川敷一帯は約130種類もの野鳥が飛来するのが確認されていますが、今回初めて干潟で野鳥の観察を行い、カルガモ・アオサギ・カンムリカイツブリ他23種類を見ることが出来ました。暑い暑い一日でしたが、子供も大人も楽しい一日を過ごせました。

干潟にはシジミやヨシハラカニが。

イベント案内

9月22日(日)~11月17日(日)の各日曜日

淀川河川公園秋季野球大会(淀川河川公園各野球場)

10月1日(火)~31日(日)

マイナーアップキャンペーン(淀川流域)

10月19日(土)・20日(日)

近畿都市緑化祭(兵庫県立有馬富士公園)

10月26日(土)・27日(日)

秋の緑化祭(守口地区)

11月中旬(予定)

淀川河川公園ゲートボール大会(仁和寺地区)

11月10日(日)予備日11月17日(日)

小学生シングルステニス大会(外島地区)

12月8日(日)

淀川河川公園リレーマラソン大会(太間地区)

淀川の野草

季節を告げる素敵な草花を探してみよう!文/有馬忠雄

イシミカワ

お皿のような葉(托葉)に盛られた赤や青のお団子。つい手を伸ばしたくなる草なんだが、葉や茎にある鋭い刺に阻まれてびっくりする。一旦この刺に捕まると、手だけでなく、衣服まで捕らえられて身動きできなくなる。いやな奴だと思うけれども、イシミカワはこの刺で他の植物に引っかかりながら伸びて行くのだ。

背割堤地区

オギ

十五夜の頃、ススキの穂をかざしながら仲良し親子が淀川の草むらから帰ってくる。これが実はオギなのである。よく伸びたものは4m近くにも大きくなるのだから、ススキとは大違い。まあ、お月さんはきっとそんなことに頓着していないはず。ススキより団子なんだろうから。宇治川の向島のオギは、今でも屋根葺きの材料として使われている。

大山崎地区

カナムグラ

大形のモミジ型の葉やその柄に刺がいっぱい生えていて、他の植物に刺で絡みながら蔓を伸ばして行く。だから、淀川のヨシ原をどんどん壊してしまう困り者である。雄と雌とが別々の株になる。ビールの苦みのもと、ホップはこれの仲間である。雌花を見ると成る程、と頷けることだろう。万葉集に出てくる八重葎はカナムグラのことだそうだが、当時は住まいの近くに沢山生えていたということなんだろうか。

津屋野草地区

親子3人「淀川源流」旅日記~桂川その7~

京北町は丹波高原の中にあり、総面積の93%が森林です。行けども行けども視界には緑が入ってくる、これぞ大自然の里という雰囲気。町のほぼ中央には上桂川が流れており、町の西端で、これまで私たちが目指してきた桂川の源流に辿り着きました。

栗尾峠からの京北町

周山街道を北上し、いざ京北町へ。477号線と交差するあたりにウッディー京北【A】がある。ここは木の情報を集結した展示館。触れる・遊べる・休める・学べる・買える空間であり、子供連れでも気軽に楽しめる。さすが北山杉の里、館の中央には高さ7m・太さ5.1mの巨大なやぐら杉がデンと構えていた。販売コーナーには木工品の他、焼き物や手織物など、地元で活躍する作家たちの逸品が所狭しと並べられている。夫は自分の作品づくりのために木片を物色。質の高い杉の輪切りを見つけ「これは安い!」と興奮していた。

車を5分ほど走らせると、右手の奥に山国神社【B】がある。社伝によると平安時代に創建されたという。その日はたまたま地元の男性がたくさん集まっていた。お祭りのたいまつ用にまきを割るそうだ。おじさんがまき木の間で見つけたナミマイマイ(カタツムリ)を娘に差し出す。初めて実物を見た娘は「つのだせ~」とひと言。神社の裏側には桂川が。アユ釣り人が照りつける陽ざしの中、我慢強く自分の気配を消し釣り糸をたれる。土手には星形の小花をつけるカノコソウが生え、対岸の樹上ではオオルリとウグイスが互いのテリトリーを主張しあっていた。ウグイスの方はシングルだが、オオルリはつがい。目にも鮮やかな藍色をまとった雄、地味な褐色をした雌のコントラストが印象深い。神社に隣接した公園の池には、フナやコイに混ざってヤマメが。清らかな自然と歴史・文化がしっくりと馴染んでいて、心から憩える場であった。

そこから、しばらく行くと橋が架かる。その下を流れる緩やかな川面は水遊びやガサガサ漁、バーベキューを楽しむ人々で賑わっていた。ヤンマのヤゴやハゼ科の魚でいっぱいになったバケツを楽しそうにのぞき込む子供達。大阪近郊ではなかなかお目にかかれない憧憬だ。

その様子を横目に、次なる取材地、常照皇寺【C】へ。森を背に建つ天皇の菩提禅寺である。京都の町中にある華やかな寺と違って、侘び寂びのつまった山寺という感じ。土産物屋さんがあるわけでもなく、本当に静かな所だ。そのかわり鳥や虫の声が聞こえる、耳寄りな音の風景が広がっている。石の階段を上っていくと、寺の入口横でチョロチョロと水が湧き出ていた。その水たまりをよく見ると、百匹ぐらいのイモリがいるではないか。動いているのは湧き水だけ。イモリは静止状態。まるで水墨画の世界である。ちなみに、この寺は樹齢630年の九重桜でも有名。天然記念物に指定されている見事な枝垂れ桜である。この寺から少し車を走らせると、春日神社の横に百年桜【D】もある。この桜は樹齢300年あまりの幻の珍種。ヤマザクラの突然変異で、八重の中に一重が混じる花を咲かせるそうだ。

477号線を進み京北町のはずれまで行くと、桂川という看板ではなく、弓削川という名前に変わっていた。このあたりはいくつもの細流や沢が入り交じる。かろうじて本流をたどるが、もはやここまで。うっそうとした森を縫うような沢を見て、私たちの独断ではあるが、このあたりを桂川源流【E】として旅を締め括った。帰り道、栗尾峠で眼下に広がる周山地区を一望すると、これまでに取材してきた桂川の表情が、走馬燈のように脳裏に浮かんでは消え、浮かんでは消える。川という字のごとく、親子3人で始めた桂川紀行。これにて、完結。

広河原尾花町の源流地区

*取材/7月20日(祝)
*小村家・プロフィール/父の一也はプランナー兼イラストレーター。母の郁慧はコピーライター。そして一人娘の東洋。親子3人、仲良く見聞しています。

淀川河川公園と私

淀川ありがとう。淀川は子育ての場所。

淀川を撮り続けて約30年、それが写真家細川和昭のキャッチフレーズでした。"淀川に撮影に行くけど、子ども達連れて一緒に行くか?"それが私達家族の淀川との始まりでした。娘二人は小学生と幼稚園児です。(現在は31歳と28歳)それまではせいぜい大阪城へ自転車で出掛けるくらいでした。淀川で、はたして遊べるやろかと気掛かりでしたが、親の心配をよそに、バッタを追いかけて走り回ったり、かと思うとじっと座り込んで野花をつんだり、もう遊びに夢中です。遊び疲れると大好きなお弁当です。青い空、緑のジュウタンの上では、おにぎりとお茶だけでもとても豪華な食事です。

淀川公園での四季を通してのイベントを回想します。<自然教室(現在は自然を楽しむ会)>海の水と川の水が入り込むところでの生命。がまの穂を使っての工作、すすきでのふくろう。親と子が本当に遊びながら学べる楽しい一日でした。<ウィンターフェスティバル>冬の寒い寒い日に雪の山でのすべり台、大勢の子ども達が雪の山で楽しんでいます。都会の子ども達には、こんな大きな雪山は初めてです。<たこあげ大会>教えてもらって自分で凧を作り、ちぢこまった手に息を吹きかけながらやったたこあげ、凧の会の人たちによる大だこや、連だこに子ども達は大よろこび。この様にして一年を通じて何度淀川公園に通ったことでしょう。ある時など偶然にも自然教室に子どものクラスメートが参加していたこともありました。

どこの家庭でも同じ事のようですが家族で行動を共にするのは小学生まで。暑いからいや・寒いからいや・友達と遊ぶ方がいいから行かない…と。ここ数年は淀川の公園ともご無沙汰でした。

去年の春、久しぶりに主人と二人で三川合流の背割り堤の桜を観に行きました。昔のままで私達を迎えてくれました。そういえばきれいな玉虫を見つけたのはこの辺だったなあと当時の情景がよみがえります。でもこれが私達の最後の淀川行きになりました。主人が私達家族にしてくれた様に、主人亡きあと、今度は私が孫達を連れて淀川公園に行こうと思っております。私にとって、いろんな事を教えてくれ、楽しく遊べて勉強できる淀川は、絶好の子育ての場所、そして憩いを与えてくれるところです。

お父さんありがとう。

そして淀川ありがとう。

これからもよろしく―。

細川千鶴子

25年位前の筆者と子供達。淀川公園にて。

ナンバー23

細川千鶴子(ほそかわ ちずこ)
昭和20年長崎県生れ。出版社勤務後、細川和昭と結婚。
昭和50年、細川和昭写真事務所設立。以後27年間経理担当(14年6月26日和昭永眠の為閉鎖)。娘2人、孫2人。

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