よしぶえ No.36 2003 WINTER

葦の地方

詩:滝本明 写真:細川和昭

鵜殿の葦原

ひっそりしたもの
葦の間のひとひらの雪
川の深みを流れていく魚の眠り
生まれたての光が浮かびあがらせる名もない形

心は積もるのだろうか 平等な時のように
そして流れるのだろうか 音楽みたいに
ひっそりと ひっそりと
僕の心はいつも 本当の形を違えていて

(ここも遠い葦の地方だから)

ひっそりしたものがいつも降る
積もるもの 溶けるもの 流れ去るもの 消え去るもの
ひっそりと ひっそりと 一筋の川の岸辺の夢たちが
遠雷みたいに僕を叱って

目次

淀川河川公園ニュース イベント案内 淀川の野草 淀川河川公園マップ 淀川河川公園と私

淀川河川公園ニュース

秋の植木市開催

10月26日(土)と27日(日)、秋の植木市が守口地区で開催されました。心配だった天気も一時的に小雨が降り少々寒い程度で、多くの人でにぎわいました。今回も「寄せ植え体験」は大人気。好みの植物を選び講師の指導のもと、思い通りに仕上げていました。春の植木市に続き行った「せり市」にも大勢の人が集まり、売り手のかけ声と買い手の声がにぎやかに飛び交いました。また、アンケート調査の結果、毎年春と秋の植木市を楽しみにしているのでぜひ続けて欲しい、というご意見を多数いただきました。

第8回ジュニア・シングルステニス大会

第8回ジュニア・シングルステニス大会が11月10日(日)、外島テニスコートで開催されました。この大会の対象者は空振りばかりでもOK!という初心者の小学生。試合に慣れる・度胸をつける・テニスが楽しくなる、ということを目的にしています。当日は秋晴れの良い天気で、男子18名、女子18名の計36名が参加。なかには7月の大会よりずいぶん上達した選手もいました。試合方法は3人によるリーグ戦の後、順位別トーナメント制。各トーナメントの優勝者は下記の通りです。

★男子の部★   ★女子の部★
A 豊田一輝くん
B 宮本侑典くん
C 河内大輝くん
  A 寺野百花理さん
B 寺田遥香さん
C 西原詩織さん

第20回淀川河川公園ゲートボール大会

11月13日(水)、仁和寺ゲートボール場で開催された本大会は枚方市、寝屋川市、守口市の各ゲートボール協会の協力により、各協会所属の24チームによるリンク戦で試合を進行。この日は肌寒い曇り空でしたが、寒さを吹き飛ばす白熱したプレーで、和気あいあいと有意義な大会となりました。

★優勝   さだ(枚方市ゲートボール協会)
★準優勝   西友A(寝屋川市ゲートボール協会)
★3位   ときわ会(寝屋川市ゲートボール協会)
★敢闘賞   招友会(枚方市ゲートボール協会)

園児によるチューリップの植付け

平成12年の日本とオランダの国交400周年記念事業の一環として、「長柄地区」のオランダ風公園の整備が行われてきました。11月20日(水)に行った長柄保育園・淀川幼稚園の園児達による恒例のチューリップの球根の植付けもそのひとつで、約80名の元気な園児達が参加しました。

第69回淀川の自然を楽しむ会

11月24日(日)、絶好の小春日和の中、鳥飼野草地区で41名が参加し、淀川の自然を楽しむ会が行われました。野生のムクの木の下で甘いムクの実を頬ばり、水辺に群生しているウォーターレタスを数名が集めて食べました。子供達の班では一番背の高いセイタカヨシの長さを計り、5m24cmと自分の背の何倍もあるのにびっくり。他にもヤナギの枝でエンピツなどを作り、楽しい一日を過ごしました。

ムクの実の甘さを堪能する参加者達

第8回淀川河川公園リレーマラソン大会

12月8日(日)、太間地区特設コースで開催されたこの大会は、1チーム4人以上10人までで、2kmの周回コースを21周と195m、タスキリレーで完走するマラソンです。(走る順序や何周走るかは自由)当日は肌寒く時折小雨が降っていましたが、最年少9歳、最年長85歳を含む131チーム1089人が参加。42.195kmを思い思いの走りで走破し、楽しいうちに競技を終えました。いろんな優勝部門がありましたが、総合部門の上位チームは下記の通りです。

★優勝   あいな工房倶楽部   2:17:29
★準優勝   南港&谷町RC   2:24:12
★3位   尾崎はいないけどリベンジだ   2:26:45

イベント案内

2月2日(日)雨天の場合2月9日(日)

第8回淀川河川公園凧揚げ大会(太間地区)

2月23日(日)

第70回淀川の自然を楽しむ会
テーマ「早春の河原」(背割堤地区)

3月2日(日)~5月11日(日)

第25回河川環境管理財団杯争奪サンスポ野球大会
(海老江地区他6地区)

淀川の野草

季節を告げる素敵な草花を探してみよう!文/有馬忠雄

ホソバウンラン

淀川ではここ1、2年のうちに見られるようになった新顔である。今のところ、背割堤地区でしか見られないので、ひょっとすると花壇から逃げ出してきたのかも知れない。外国からやって来たのだけれど、これからもずっと背割堤で生き続けられるかどうか、まだ分からない。こんな美しい花だからいつまでもいてほしいと思ったり、淀川の景色が変わるから早くどっかへいってほしいとも。

背割堤地区

ヨメナ

淀川の草むらで咲く淡い紫色の菊、野菊はたいていヨメナの花だ。春に出る若葉は味も香りも良く、お浸しにしたり、ご飯に炊き込んだり。てんぷらもなかなか良い。あんまりうまいので「嫁に食わすな」と言われるそうな。でも、古い言葉でネズミのことを「ヨメ」と呼んだらしいと聞くと、「嫁に食わすな」は「ネズミに食わすな」ということかも知れない。

背割堤地区

淀川河川公園マップ

淀川河川公園と私

河川公園の気持ちよさを初めて知って。

実は37年も大阪に住んでいながら、子供ができて初めて河川公園に足を運んだ。それまでは、電車から見下ろして「あー、バーベキューをやっている。楽しそうだな。」「今日は川の水位が随分低いな。水不足は大丈夫だろうか。」「きのうの雨で今日は川の流れが少し速いな。」などと、遠目に淀川を見ていた。しかし実際に公園に来てみると、電車から見ているのとは全然違う。堤防は人工的なコンクリートだけど、水面を流れる風やその上に広がる空は自然そのものだ。野鳥の鳴き声まで聞こえてくる。今までわざわざ遠くのキャンプ場まで出かけていたのに、こんなに身近に自然を体感できるなんて、もっと早く知るべきだった…と、少し口惜しい気持ちになった。

私にとって"川"と言えば、生まれ育った高槻の芥川が一番身近だった。弟と一緒にズボンの裾をまくって膝上まで川に浸かり、岸辺近くの雑草の茂みに手を突っ込んでガサガサ漁をよくやった。面白いほど手づかみで魚が捕れたのも、つい昨日のことのように蘇ってくる。私の記憶にない3才頃、前日の雨で増水した芥川に流され、近くを通りかかった学生さん(多分大学生)が川に飛び込んで助けてくれた話は、耳にタコができるほど父から聞かされている。幼児たちだけでもけっこう川で遊んでいたというから少し驚きだが、それほど川が生活に密着していたのだろう。

さらに62才になる私の父の子供時代に遡ると、喉が渇けば川の水を手ですくって飲み、夕食のおかず用にしじみやざりがにを取って帰ったという。今から思えば、まさに楽園そのもの。人は自然によって生かされていたのだ。その時代は、今のように安くて便利な物がないことが道具を大切に使うことにつながり、必然的に河原に置き去りにされるゴミも少なくて済んだのだろう。手で川の水をすくって飲みたくなる川にはペットボトルや空き缶は似合わない。

いろいろな使い捨て容器が現れはじめて、河原に限らずどれだけポイ捨てゴミが増えたことか。製品を生産するメーカーの責任は本当に大きいと思う。せめてクリーンキャンペーンを自主的にやってほしい。美しい自然の中に一つでもゴミがあると、その景色は台無しになってしまうのだから。

8月に1才になった息子はアレルギーに苦しんでいる。からだのいたるところが痒いのだ。お風呂のシャワーにも脱塩素の浄水器を取り付けている。そんなことで"水"の重要性を真剣に考えるようになった。水質汚染による環境ホルモン問題。これから未来を担ってゆく子供たちに過去のツケがまわるのはあまりに理不尽だ。淀川の水も随分ときれいになってきているそうだが、私たちの生活そのものをもっと見直していかないと、まだまだ子供たちに大きなツケを残してしまう。

高槻・大塚の河川公園にはゴミが落ちていない。そんな当たり前のことに驚かされながら、大人として、親として、子供たちに美しい日本を残していきたいと改めて感じた。

西田 修

筆者と一人息子の弦人くん

ナンバー23

西田 修 (にしだ おさむ)
昭和39年大阪府高槻市生れ。結婚後の現在も高槻市在住。 芸大卒業後、印刷会社で企画の仕事に就き、現在はアートディレクター。主に企業の広告やカタログの制作を手がける。

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